たにやんの住まい勉強会

住まいについて学んだことを記事にしていきます。

太陽光の恵みが住まいにもたらすこと

地球が受けている太陽からのエネルギーは莫大なものです。
地球に到達した太陽光線の1時間あたりの総エネルギー量は、20世紀後半での世界中で消費されたエネルギーの1年間分にも匹敵するともいわれているほどの恵みを毎日受けているのです。
数字にすると日本では最大で約1KW/㎡のエネルギーになります。

実際の地球への太陽光線からの影響

また太陽光線のうち、
紫外線(短波長)はオゾン層で90%以上がカットされています。
赤外線(長波長)は大気により4割程度がカットされています。
そうして地上に到達したエネルギーの内訳は、
・地上で熱に変わるエネルギーは約45%
・海中に蓄えられるエネルギーは約20%
・風や波を動かす原動力へ変わるエネルギーは0.2%程度
・樹木の光合成に使用されるエネルギーは0.02%程度
・宇宙に反射するエネルギーは約30%
とされており、このように太陽光の熱エネルギーは地球上の様々な現象に寄与しています。

直射日光で地表面の温度はどのくらい上昇するか。

日本での中央値となる春分秋分の南中時では、地表温度の上昇は約37℃程度上昇します。
これを、冬至の太陽高度に換算すると、24℃の地表温度の上昇となります。
この太陽の恵みを住まい造りにも素直に取り入れ、暖房エネルギーに頼ることなく省エネルギーで快適な室内環境になるように設計したいものです。
更に蓄熱性の高い資材(煉瓦や石など熱容量の大きい材、杉や桐など空気をたくさん含んだ材)に取り込むことを考慮すると、いっそう太陽の恵みを持続することができる様になります。
ちなみに、夏場の日向と日陰の地表温度を比較してみると、日陰は気温より4~5℃低いのに対し、日向は45℃以上に上がることから、住まいの開口部には、庇、テント、又は落葉樹で日陰を考慮することは、必須条件であると思われます。

プランニングの土台

プランニングとは・・・
今のところは住まいの間取りや基本計画を決定していくことであり、敷地の情報やクライアントの要望や費用のバランスを取りながら、クライアントの要望から読み取った建物への希望を寸法に変えてゆくことだと思っています。
そこでプランニングの中でも大切なのが、①土地の有効活用②プランの魅力③デザインの美しさ、この三点を支えるのが構造への知識だと思います。

①土地の有効活用について
まず、プランニングは土地を見なければ始まりません。最近ではグーグルマップやグーグルアース等の便利なツールも有りますが、土地を見に行くという事は、日の入り方や風の抜けは当然のことながら、近隣の状況や近隣の施設の状況、避難や防災の観点等、現地に行く前に建物の大枠を考えその枠が間違っていないかを現地で確かめなければ、敷地の状況と完成した住まいにズレが生じてしまいます。
敷地を有効活用するという事はプロとして、計画地だけでなくその周辺の環境から敷地全体を計画することであるはずです。

②プランの魅力について
どんな住まいも全く同じ敷地に建つことはありえません。という事は、その住まいだけの魅力というのが敷地から生まれてくるはずです。また、敷地の条件を生かした魅力、クライアントの要望からくる魅力、設計者としての想いを魅力にすること、少なくとも一つずつ取り入れて3つはその住まいらしい魅力がプランには入れられるはずです。敷地もクライアントも設計者も一つとして同じ組み合わせはありえないのです。

③デザインの美しさとは・・・
美しさというと、何か難しいことのように思いませんか?私自身、中学や高校でのいわゆる美術的なセンスというものはごく一般的なものでした。センスや美的感覚とは何か。建築においてセンスがいいねと言われるような人は知識と経験がリンクしている人だと思います。いくら勉強をしたところで実践しなければ形にはなりません。反対に実践ばかりしても同じ経験が積み重なるだけです。常に学び、実践し結果を手元に残し財産にできる人はデザインのセンスという経験値が伸びるのだと思います。

これらがプランニングの土台だと思っています。そして、これらを支えられるだけの基礎がなければしっかりとした土台も作れません。この基礎とは構造のことです。

日本の木造住宅の構造設計について

構造とは建物を支える骨組みのこと

現在の木造住宅では昔ながらの梁と柱を組み合わせた構造に、耐力壁と呼ばれる地震に耐えるための壁を取り入れた方法で多くの家が建てられています。特に最近では木造住宅の弱点になる接合部(梁や柱の交差するところ)へ金物を用いて接合させる方法が主流になりつつあります。この金物接合と耐力壁によって、木造の建物は固く地震に耐える様な設計を主に考えられています。

関東圏での住まいづくり

世界でも地震大国の日本において、住まい手として気になるのは100年に一度の大地震が起こった時に家が倒れずに、住み続けることができるかどうかではないでしょうか。関東圏においては関東大震災が1923年に発生してから、丁度今年で100年になりますし、これから住まいを建てるならより一層耐震には気を使った家でなくてはなりません。

そこで大切なのは、構造設計がなされた建物かどうかという事です。熊本の震災では耐力壁や柱の直下率の低さから倒壊や損傷が起こったという結果が報道などもされていますが、それは表面上の問題に過ぎないと私は思っています。直下率を上げていれば地盤まで建物からの地震力が伝わりやすくはなりますが、建物全体には大きな力の流れがあり、その力を分散させながら地盤まで伝わるように設計がなされているかどうかで、建物の耐震性が決まると考えています。

住まいづくりでの構造計算

ここで大切になってくるのは構造計算と構造設計は異なるものだという所です。構造計算でOKを出していても、実際の建物がどのように壊れるかという所までは、従来の木造住宅で行っているような計算(壁量計算)では算出しません。その建物の弱点になってくるようなところや、全体の力の流れをイメージすることはまだまだ、設計者が判断しながら検討しなければ、余計な構造費やバランスの悪い建物になってしまうことも考えられます。

吹き抜けがあるか、建物の形が複雑になっているか、一階部分に力の弱点になるような箇所がないか、スキップフロアや小屋裏の力を地盤まで伝えられる構造になっているか。挙げればキリが有りませんが、クライアントの住まいへの夢を実現しながら安全に暮らせる住まいを築かなければなりません。

また2025年にはこれまで建築士の裁量に任せられていた、耐力壁の配置による建物の安全性の確保も確認申請の対象になります。当然ですが、構造に関する知識を建築士が深く持っていなくてはいけません。

下記に最近購入した本を紹介しておきます。

 

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